動注治療・運動器カテーテル治療の理論的背景と新規個別指導
こんにちは。
今日は動注治療・運動器カテーテル治療の理論的背景についてお話します。
やや専門的な話になるかもしれませんが、ご了承を。
当院では開院当初から動注治療、運動器カテーテル治療という最新治療を実施しています。
これらは東京のオクノクリニックの奥野先生が考案した治療法で
炎症とともにできた微細な毛細血管を塞栓(フタ)をすることで痛みを改善するという治療法です。
具体的な術式でいうと「経動脈的塞栓術」といいます。
がんなどの悪性腫瘍に対してはすでに保険適応もされている治療法で、
いずれ慢性疼痛に対するカテーテル治療も、保険適応となるかもしれません。
それではなぜ炎症によってできた微細な毛細血管をフタをすることで、痛み改善するのでしょうか?
その問いの解として重要な論文が2022年に奈良医大からPublishされています。
次の図をご覧ください。
人工的に肩関節周囲炎にしたネズミ(肩関節周囲炎モデルrat)と正常ネズミの肩の動脈を血管造影を用いて
撮影し対比したものです。すると正常ratにはない、毛細血管(stain)が肩関節周囲炎モデルratでは認められてます。
その後、治療したグループと治療していないグループでMV(毛細血管)とMIC(炎症細胞)を比べたところ、
毛細血管、炎症細胞ともに治療グループで有意に減少しています。
毛細血管と末梢の神経繊維は人間の体の中ではパラレル(比例して)に動くことがわかっており、
これらの結果から先程の「なぜ炎症に伴う毛細血管を塞栓をすると痛みが改善するのか」という問いの解としては
「病的新生血管を塞栓する事で、炎症細胞を減少させ、また対になって増えた神経線維を退縮させる事で
疼痛の改善を図る事ができるから」
と答えることができます。
。。。少し専門的すぎましたでしょうか。
よくわからなかった方は診察の際気軽に聞いて頂ければ、また説明しますね。
さて本日は新規個別指導といい、開業後1年前後で行われるクリニックの個別の指導で愛知県医師会館に行ってきました。優しく指導して頂き、今後も適正な保険診療を行なっていきたいと思います。
それではまた。