坐骨神経痛・おしりの痛み
坐骨神経痛について
坐骨神経とは人間の体の中で最も太い神経であり、腰椎から膝の上の部分まで分布しています。このどこかの部分で神経に障害が生じると「坐骨神経痛」になります。代表的な症状として殿部から大腿部の後面あるいは外側にかけて痛み、しびれを自覚することが多いです。
坐骨神経痛の原因
原因として、①腰椎の部分 ②坐骨神経自体 ③その他 が挙げられます。
①腰椎の部分の原因
・椎間板ヘルニア
・腰椎分離すべり症
・脊柱管狭窄症
②坐骨神経自体の原因
・梨状筋症候群
③その他の原因
・変形性股関節症に関連して坐骨神経痛様の症状を呈する場合や、帯状疱疹や骨盤内腫瘍でも症状が出る場合があります。
坐骨神経痛の治療
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など原因となっている病気が分かればそれぞれに対する治療を行います。腰椎MRIなどを施行し、特に原因となる病気がなく症状を自覚する場合は、超音波ガイドに坐骨神経周囲にハイドロリリースを行う場合もあります。
殿部痛について
日常生活において、臀部痛を訴える方は多いと思います。
「椅子に長く座っているとお尻が痛くなる」「お尻だけでなく足の方も痛い、痺れる」など症状は多岐に渡ります。坐骨神経痛が疑われる場合も多いですが、特に原因なく殿部に痛みを生じる事もあり、当院では超音波ガイドによるブロック注射など積極的に注射治療を行なっています。お気軽にご相談ください。
殿部痛の治療
特に器質的な病変がなかった場合、下記の治療法を行います。
梨状筋ブロック(ハイドロリリース)、坐骨神経ハイドロリリースや仙腸関節ブロック
超音波ガイド下に梨状筋内にハイドロリリースを行います。薬液を入れることにより、下殿神経や後大腿皮神経に薬液が浸潤し、殿部領域の疼痛の鎮痛効果が期待できます。刺入経路に骨や靱帯がないため、他の部位の注射よりも痛みが少ないとされています。また明らかな坐骨神経からくる痛みが想定される場合は、坐骨神経周囲にハイドロリリース治療を行う場合もあります。近年超音波検査の進歩で坐骨神経が同定しやすくなりました。下記図のように大腿二頭筋や半膜様筋などに挟まれ、メルセデスベンツサインなどと呼ばれる事もあります。加えて痛みの部位によっては超音波ガイド下に仙腸関節ブロックも行います。
上記のような注射治療で改善しない場合、運動器カテーテル治療を行う場合もあります。
治療は症状などと合わせて適切な治療を選択していきます。
(文責:医師・医学博士 藤原圭史)