鵞足炎
鵞足炎とは
鵞足とは、縫工筋、半腱様筋、薄筋と呼ばれる3つの筋肉の腱の総称をいい、この部位にある滑液包に炎症が生じる状態を鵞足炎とよばれます。スポーツ障害ではランニングや、野球などの繰り返す屈伸運動が多い競技に多く認められ、その他には変形性膝関節症に伴う鵞足炎や脛骨近位内側の外骨腫に伴う鵞足炎が多く経験されます。
鵞足炎の診断
超音波検査やMRIにて診断します。超音波検査では、典型的には腫大した鵞足や血流シグナルの増加が認められる場合がありますが、これらの所見が認められない場合も多いです。MRIでは鵞足の腫大や周囲脂肪の浮腫性変化(高信号域)が認められる事があります。
超音波検査
MRI検査
鵞足炎の治療
鵞足包注射(保険診療)
超音波ガイド下に内側側副靱帯浅層と鵞足の境界にステロイドを入れていきます。効果が出る人は早期に痛みが改善しますが、繰り返し投与すると再発するリスクが上昇します。またステロイド注射は年間で投与できる目安の量があり、腱や靭帯を萎縮させる副作用もありますので、多くとも2回程度までにとどめた方がいいです。
運動器カテーテル治療(自費診療)
鵞足炎では、慢性炎症に伴う病的新生血管(モヤモヤ血管)ができている事が多いです。(下図)運動器カテーテル治療はこの異常血管だけにフタ(塞栓)し、炎症を改善し痛みを緩和する方法です。運動器カテーテル治療の場合は基本的には1回での治療となります。