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有痛性外脛骨

有痛性外脛骨とは

まず外脛骨とは過剰骨(普通はない余分な骨)といい、舟状骨(しゅうじょうこつ)という足の内側の骨が出来上がる過程で、本来一つにまとまるはずの骨が別々に分かれたままになってしまった骨のことです。日本人の15%の人に存在すると言われます。舟状骨は後脛骨筋というふくらはぎの筋の付着部になっており、運動などで繰り返し後脛骨筋腱が引っ張られると外脛骨に炎症を起こし、痛みを感じます。

日本整形外科スポーツ医学会広報委員会資料より転載

 

有痛性外脛骨の分類

外脛骨の分類としてVeitch分類というものがありTypeⅠ-Ⅲまでありますが、その中で疼痛の原因となる可能性が高いのはTypeⅡです。TypeⅡでは後脛骨筋腱の刺激が伝わりやすいからとされています。

 

有痛性外脛骨のリスクファクター

いくつか原因がありますが、下記の4つが主に考えられています。どれか一つというよりは複数の原因が複合している場合も多いです。

①扁平足

②回内足

③バスケットボールやバレーボール、バレエなどジャンプしたり、ふくらはぎへの負担が大きいスポーツ

④女性

 

有痛性外脛骨の診断

まずは圧痛の部位を確認します。典型的には足の内側の外脛骨の突出部の痛みがある事が多いです。またレントゲンで外脛骨の有無、また外脛骨のタイプを確認します。最近は超音波で炎症の程度が確認できたり、必要に応じてCTやMRIなどの画像検査を追加する事もあります。

 

 

有痛性外脛骨の治療

有痛性外脛骨の治療では、まずはできるだけ足をを使わないように安静にし、消炎鎮痛薬や湿布、インソールなどの装具を併用して治療していきます。また下腿ノストレッチを行い柔らかく保つ事も重要です。しかしそれらの治療では改善しない事も多く、その場合は下記の治療法を選択していきます。

 

動注治療・運動器カテーテル治療(自費診療)

有痛性外脛骨では慢性炎症に伴う病的新生血管(モヤモヤ血管)ができている事が多いです(図1左)。動注治療・カテーテル治療はこの異常血管だけにフタ(塞栓)し、新生血管を消失させ炎症を改善し痛みを緩和する方法です。基本的には1回での治療となります。

動注治療についての詳細はこちら

運動器カテーテル治療についての詳細はこちら

 

 

ステロイド注射(保険診療)

超音波ガイドに骨周囲に直接ステロイドを注入します。効果が出る人は早期に痛みが改善します。ただし、ステロイド注射は年間で投与できる目安の量があり、腱や靭帯を萎縮させる副作用があるので、多くとも2回程度までにとどめた方がいいと考えます。

 

手術

安静や上記の保存的治療で改善しない場合検討されますが、手術が必要となるケースは少ないとされます。過剰骨である外脛骨摘出術やまた隣接する舟状骨と固定する骨接合術が選択されます。およそ3週間はギプス固定が必要で、スポーツへの復帰はおよそ2ヶ月後から練習再開する事が多いとされています。

 

治療は症状などと合わせて適切な治療を選択していきます。

(文責:医師・医学博士 藤原圭史)

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