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ばね指・腱鞘炎

ばね指・腱鞘炎とは

指を曲げるには、屈筋腱(くっきんけん)が筋の収縮を伝えることで行われ、腱は腱鞘(けんしょう)というトンネルの中を通っています。ばね指とは手の使い過ぎなどが原因で起こる「指の腱鞘炎」で、腱鞘が炎症を生じて腫れてしまい指の動きが制限される事をいいます。弾発指ともいいます。進行すると指がまがったまま戻らなくなり、強い力で無理にのばそうとすると「ばね」のように跳ねて戻ることから「ばね指」と呼ばれています。特に指の付け根の関節(MP関節)にある腱鞘(A1プーリー)に起こる事が多いです。

日本手外科学会広報委員会 資料より転載

 

ばね指の症状

進行するにつれ、下段の症状になっていきます。

・指の付け根に鈍い痛み、違和感

・指の付け根の腫れ、熱感

・指の曲げ伸ばしがしづらい

・いわゆる “ばね現象” が起こる

(曲がった指を無理に戻そうとして力を入れるとカクンとはねる)

 

ばね指はどの指でもなる可能性がありますが、特に親指・中指・薬指に多いとされています。

 

ばね指の原因

 パソコンなど手をよく使う方、スポーツをしている方

 妊娠中、産後、更年期の方

 糖尿病や関節リウマチ、透析を行なっている方 

などに多いとされています。

 

ばね指の診断

まずは指を曲げ伸ばしする際の引っかかり、腱鞘部の圧痛を確認し診断します。当院では積極的にエコーによる診断を行なっており、図のように腱鞘の肥厚が確認できる場合があります。また腱鞘ガングリオンの有無を確認する事もでき、有用な検査です。過去の報告では腱鞘が1.2mm以上だと難治性が高く、手術に移行しやすいとの報告もあります。(1)

(1) 日手会誌 第34巻 第2号 52-54 2017

 

 

ばね指の治療

治療には大きく分けて保存療法と手術療法があります。

 

保存療法

安静・鎮痛薬

軽症の場合、使いすぎを避け安静を保ち、場合によって非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDS)などの鎮痛薬の処方を行います。

 

超音波ガイド下腱鞘内ステロイド注射

痛みなどの症状が強い場合は、腱鞘内にステロイド剤と局所麻酔薬を混ぜた注射を行います。当院ではごく少量のケナコルト(トリアムシノロン)を使用する事が多く、一度の注射で3-6ヶ月程度痛みを抑える事が可能です。

 

動注治療(自費診療)

ばね指では腱鞘に慢性炎症を伴っていることが多く、病的新生血管(モヤモヤ血管)ができている事が多いです。動注治療はこの異常血管だけをフタ(塞栓)し、炎症を改善し痛みを緩和する方法です。上記のステロイド注射と組み合わせる事で強い抗炎症効果が期待できます。

動注治療についての詳細はこちら

 

手術

保存療法で症状が改善できない場合や、再発を繰り返すような場合には、手術を検討します。手術は、痛みの元となっている腱鞘を切開し、その一部を切り離すことで、つらい症状を改善させることが可能です。手術自体は、1㎝程度の切開で済み、所要時間も15分程度と短いため、日帰りで行うことが可能ですが、術後一週間程度は、手を濡らさないように気を付ける必要があります。

当院では切らない超音波ガイド下経皮的腱鞘切開術を行う事が可能です。メリットは大きな皮切を必要としないので術後に炊事や洗濯が可能です。超音波を見ながら図のように腱鞘を解放していきます。デメリットは不十分な腱鞘切開のため症状残存や、神経損傷などが挙げられます。親指は神経損傷のリスクが高いためこの治療は適応できません。


 

治療は症状などと合わせて適切な治療を選択していきます。

 

(文責:医師・医学博士 藤原圭史)

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