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手根管症候群

手根管症候群とは

手首にある骨と靭帯に囲まれている管状の空間のことを「手根管」と呼び、この中に指を曲げるときに働く腱と正中神経が走行しています。手根管症候群とは手根管で何らかの原因によって正中神経が圧迫を受け、手のしびれや痛みを伴う疾患です。

 

手根管症候群の症状

正中神経は、親指~くすり指の感覚をつかさどっていると同時に、親指の肉球部分の筋肉にも命令を出しています。そのため主な症状は親指、人差し指、中指、薬指(薬指は親指側のみ)のしびれ、痛みです。指で物に触ったとき、感覚が鈍いような感じがあります。また症状は、夜間・明け方に強くなる傾向があります。


 

日本整形外科学会 手外科シリーズ 1.手根管症候群より転載

 

手根管症候群の原因

多くは特発性(原因不明)で、圧倒的に女性に多い傾向にあります。時に続発性で手根管内のガングリオンや腫瘍、関節リウマチ、過去の骨折後(橈骨遠位端骨折など)、手の使いすぎなどが挙げられます。

 

手根管症候群の診断

問診・触診、tinel徴候やファーレンテスト(手関節屈曲テスト)などを行い、診断します。ファーレンテストとは手首を90度曲げて30秒保持したときの症状の有無・変化を調べる検査です。最近は超音波検査(エコー検査)が有用で、実際に正中神経が腫大しているか確認します。(正常の正中神経の断面積は10mm2=0.1cm2程度の事が多いですが、手根管症候群の方は1.5倍程度に腫大していることが多いです) 時にMRI診断を行うことはありますが、MRIは診断の感度特異度ともに高くなく、MRIが必要になることはそこまで多くありません。

図:手根管症候群の超音波画像 神経線維の近位(上腕側)の神経が腫大しているのがわかると思います。

 

手根管症候群の治療

まずは安静、消炎鎮痛薬や湿布などの貼付薬にて経過観察します。その上で簡単な装具(サポーター)を使用する事もあります。その上で効果が乏しければ超音波ガイド下にステロイド注射を実施したり、正中神経と周囲の腱や組織をはがすようにハイドロリリースを、また炎症を強力に落とす目的で動中治療・運動器カテーテル治療を行う場合もあります。これらの保存的治療で効果が出ない場合、手術が選択されることが多いです。

図:手根管症候群に対するハイドロリリース治療

 

(文責:医師・医学博士 藤原圭史)

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