石灰沈着性腱板炎
石灰沈着性腱板炎とは
石灰沈着性腱板炎は肩腱板内にリン酸カルシウム結晶が沈着し、急激な痛みがでるものです。痛みだけでなく可動制限も生じるもので、中高年の女性に多く見られる疾患です。
石灰沈着性腱板炎の症状
突然、肩関節に強い痛みを感じ、安静時にも強い痛みを自覚することが多いです。
そのために肩関節を動かすことができません。夜間に急に発症することが多いのも特徴で、痛みのために眠れないといった方も多いです。
石灰沈着性腱板炎の原因
現時点ではなぜ石灰が沈着するのか、原因は特定されていませんが、下記のような可能性が言及されています。
①脱水傾向
②遺伝(家族の人がなったことがある)
③腎臓結石、尿路結石の既往歴がある
石灰沈着性腱板炎の診断
症状の経過を聞き、身体所見を調べます。石灰沈着は肩のレントゲンを撮ることで確認できます。また、超音波診断装置(エコー)でも石灰沈着を確認することができます。超音波検査では炎症の程度(血流シグナルの増加)を確認することができます。
石灰沈着性腱炎の治療
治療の多くは保存療法で治療されます。内服薬として、非ステロイド系の炎症薬(ロキソニンなど)や、炎症を抑えるステロイド製剤の注射や、注入するだけでなく注射針で石灰を破砕する治療で一定の効果が期待できます。(1) 上記で症状の改善が乏しい場合は、体外衝撃波や運動器カテーテル治療が検討される場合もあります。
超音波ガイド下石灰破砕治療の動画はこちら
(1) Oudelaar BW et al. Eur J Radiol. Ireland; 2016;85:689–94.
運動器カテーテル治療(自費診療)
石灰沈着性腱炎では、慢性炎症に伴う病的新生血管(モヤモヤ血管)ができている事が多いです。運動器カテーテル治療はこの異常血管だけにフタ(塞栓)し、炎症を改善し痛みを緩和する方法です。運動器カテーテル治療の場合は基本的には1回での治療となります。
文責:医師・医学博士 藤原圭史