ハイドロリリース
肩こりや五十肩、腰痛、スポーツ障害などでお困りの方に。
近年超音波が進歩した事で、ハイドロリリース/筋膜リリースという新しい治療が可能となりました。当院では専門医のもとで積極的に行っています。
是非一度ご相談ください。
ハイドロリリース/筋膜リリースとは
ハイドロリリースとは、痛みの原因となっている筋膜や神経周囲などの結合組織へ超音波ガイド下に薬液を注入し、痛みを改善させる治療法です。薬液を注入することにより除痛だけでなく、癒着をはがし、良好な滑走性を取り戻すことで可動域制限も改善させます。
痛みのある箇所をピンポイントに治療でき、即効性があるので、『今すぐ、痛みを治したい』方におすすめです。
ハイドロリリースの治療中の模式図(帝京大学整形外科 笹原潤先生Hydrorelease治療について資料より転載)
ハイドロリリース/筋膜リリースが効果がある理由
その除痛メカニズムは詳しくはまだわかっておりませんが、筋膜を含むfasciaに生理食塩水を注射することで、ゆ着が剥がされたり、痛みを出す物質(ブラジキニン)が洗い流され、痛みが改善するとされています(1)。
痛みの神経終末は筋肉を包む fascia(筋膜などの結合組織) に豊富に存在しているという報告があり、同部位にピンポイントに注射をすることで除痛を図ります。すべての方が一回の注射で完治するわけではなく、数回試行してから効果がある事もありますし、効果には個人差があります。
肩こりに対するハイドロリリースの超音波像(帝京大学整形外科 笹原潤先生Hydrorelease治療について資料より転載)
[1].Tesarz J et al. Sensory innervation of the thoracolumbar fascia in rats and humans. Neuroscience. 2011;194:302-8.
またターゲットとなる組織は筋膜だけでなく、神経自体もターゲットにする事ができます。当たり前ですが痛みには神経が関与している事が多く、神経周囲に生理食塩水や麻酔薬を投与する事で、直接痛みを減弱できることも多いです。ハイドロリリースにより、神経の痛み閾値を下げ、疼痛をコントロールする事が可能です。例えば正中神経周囲にハイドロリリースを行うことで手指のしびれや痛みの改善が期待できます。
図:手根管症候群に対する正中神経に対するハイドロリリース
またよくご質問される項目として「鍼」や「マッサージ」とどう違うのですかという質問をお受けしますが、癒着という観点においてはハイドロリリースはそれらよりも効果が高いと考えております。もちろん組み合わせる事で相乗効果が可能と思われます。
対象疾患
・肩こり
・肩関節周囲炎・拘縮肩
・スポーツ障害(投球障害肩、尺骨神経障害など)
・非特異的腰痛* など適応疾患は多岐にわたります。
*非特異的腰痛とは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症がないのに腰痛を自覚している状態のことをいいます。腰痛全体の80%を占めるとされています。
治療は症状などと合わせて適切な治療を選択していきます。
(文責:医師・医学博士 藤原圭史)