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上腕骨内側上顆炎・ゴルフ肘

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)とは

上腕骨内側上顆(じょうわんこつないそくじょうか)という肘の内側にある骨のでっぱりには、手首を手のひら側や内側に曲げるはたらきをする腱が付着しています。上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)とは骨と腱の結合部に炎症を伴う状態のことをいいます。ゴルフと名前が入っていますが、必ずしもゴルフをしている人にだけ生じるわけではありません。パソコン(キーボード・マウス)を使ったデスクワークの方に発症しやすい病気です。

 

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)の症状とは

ゴルフ肘の症状は「肘の内側の痛み」で、手首を内側に回すとき・強く握ったときなどに現れます。ゴルフ肘はゴルフのスイングの際、手の力だけで打つような初中級者に多くみられるとされていますが、スポーツ以外でも、手首をよく使う主婦の方・パソコンを使ったデスクワークの方に発症しやすい病気です。多くの場合は安静時の痛みはありませんが、重度になりますと安静時にも痛みを自覚するようになります。

 

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)の原因

原因には様々なものがありますが、下記の2つの原因が多いとされています。

①使いすぎ(オーバーユース)

繰り返し手首や指を伸ばしたりする動作をすることで炎症が起こります。テニスのバックハンドを繰り返すことでなりやすいことから「テニス」肘という名前がついています。

ゴルフと名前が入っていますが、必ずしもゴルフをしている人にだけ生じるわけではありません。料理人や農業などの繰り返し動作が多い職業の方にも多いとされています。

②加齢

加齢により筋肉の質が低下し、柔軟性が失われ繰り返しの刺激に弱くなるとされています。

 

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)の診断

まずは圧痛の部位を確認します。典型的には肘の内側の骨のでっぱり(内側上顆)を押さえると痛みが生じます。加えて手首を手のひら側に曲げて力を入れる「手関節屈曲テスト」などを行い、その上でレントゲンや超音波検査などの画像検査を行いますが、レントゲンでは異常所見が見られない事も多いです。個人的には超音波検査での診断が最も簡便で確実と考えており、下記の画像のように腱の肥厚や血流シグナル(もやもや血管)の上昇が認められる事が多いです。

 

ゴルフ肘の超音波像

 

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)の治療

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)の治療では、まずはできるだけ手首や肘を使わないように安静にし、消炎鎮痛薬や湿布、肘用ベルトなどの装具を併用して治療していきます。しかしそれらの治療では改善しない事も多く、その場合は下記の治療法を選択していきます。保険診療と自費治療を含めた治療戦略としては下記の図になります。

 

ステロイド注射(保険診療)

超音波ガイドに腱周囲(腱実質に直接入れないように)にステロイドを注入します。効果が出る人は早期に痛みが改善しますが、繰り返し投与すると再発するリスクが上昇します。またステロイド注射は年間で投与できる目安の量があり、腱や靭帯を萎縮させる副作用もありますので、多くとも2回程度までにとどめた方がいいです。

 

動注治療・運動器カテーテル治療(自費診療)

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)などの腱炎付着部炎では、慢性炎症に伴う病的新生血管(モヤモヤ血管)ができている事が多いです。動注治療・運動器カテーテル治療はこの異常血管だけにフタ(塞栓)し、炎症を改善し痛みを緩和する方法です。運動器カテーテル治療の場合は基本的には1回での治療となりますが、動注治療では経過によっては2回程度治療する場合もあります。

 

動注治療についての詳細はこちら

運動器カテーテル治療についての詳細はこちら

 

体外衝撃波(自費診療)

患部を照射し病変部で痛みを感知する自由神経終末の変性を誘導して無痛覚とするところにあります。肘の内側は体の中でも過敏な領域のため、治療後痛みが長引かないよう、周波数の調整が重要です。提携院の愛知県大府市の宮田整形外科・皮フ科で実施する事ができます。

 

体外衝撃波についての詳細はこちら(宮田整形外科・皮フ科Hp

 

手術

内側上顆炎で手術をするケースは稀とされますが、場合によっては肘を専門としている医療機関に紹介する事も可能です。

 

治療は症状などと合わせて適切な治療を選択していきます。

(文責:医師・医学博士 藤原圭史)

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