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TFCC損傷

TFCC損傷とは

TFCCとは手首の小指側にあるTFCCと呼ばれる靱帯と線維軟骨の複合体のことで、三角線維軟骨複合体といいます。

英語でTriangular FibroCartilage Complexといい、その頭文字をとってTFCC損傷と言われています。

原因として手をついたり転倒することで、手関節が背屈される事で起きる事が多いですが、

使いすぎや加齢などでも起こる事があります。

手外科シリーズ  TFCC損傷についての資料から転載

 

TFCC損傷の症状

主な症状としては、動作時に手首の小指側に鋭い痛みや不安定感が認められます。典型的には手関節の

回旋動作(回内回外運動)で痛みが出たり、圧痛が認められます。

具体的な動作ではドアノブを回す時や重いものを持ち上げる時に痛みが出る事多い

です。通常、安静時の痛みはないとされています。

手外科シリーズ  TFCC損傷についての資料から転載

 

TFCC損傷の診断

身体所見では、手関節尺側の圧痛、回内回外動作での疼痛が認められたり、手関節を尺屈

(小指側に屈曲)した状態で前腕側を回内回外動作を行うと痛みが誘発する、コンプレッションテストが認められます。

また画像検査ではXpでは不明瞭な事が多く、超音波検査やMRI検査で診断する事が多いです。

 

TFCC損傷の重症度分類

Palmer分類
 
class 1 外傷性
ⅠA  TFC(関節円板)中心性穿孔
ⅠB  尺骨付着部の剥離(尺骨茎状突起の骨折を伴う事あり)  
ⅠC  月状骨・三角骨付着部の剥離
ⅠD  橈骨付着部の剥離  付着部に軟骨がいるので、損傷と間違えない
 
外傷性の断裂では橈骨付着部に多く、注意深くMRIを読影することが重要です。また尺骨付着部は正常でもMRIで高信号を呈することが多く、損傷の評価が難しい場合があります。
 
class 2 変性
ⅡA  TFC摩耗
ⅡB  TFC摩耗+月状骨・尺骨の軟骨変性(chondromalasia)
ⅡC  TFC穿孔+月状骨・尺骨の軟骨変性(chondromalasia)
ⅡD  ⅡC +月状骨-三角骨靭帯
ⅡE   ⅡD+変性関節症  
 
変性によるTFC穿孔は中央部に多いです。
 
図:TFC穿孔
 
 

図:尺骨突き上げ症候群に伴うTFC損傷

 

図:断面図(手関節を輪切りにした図)   TFCと橈尺靭帯(三角靭帯)の位置関係

 

TFCC損傷の治療法

保存療法 

ギプス固定やサポーターなどの局所安静を行ったり、場合によってはステロイド注射をして炎症を抑える事により、痛みを改善させる事もあります。

 

運動器カテーテル治療

TFCC損傷では、慢性炎症に伴う病的新生血管(モヤモヤ血管)ができている事が多いです(図の赤い丸:淡く黒くなった異常な毛細血管が認められます)。運動器カテーテル治療はこの異常血管だけをフタ(塞栓)し、炎症を改善し痛みを緩和する方法です。基本的には1回での治療となります。

手術療法

上記の治療でも痛みが続く場合には手術を検討します。関節鏡による修復術や尺骨短縮術などが選択されます。

スポーツなどの競技復帰は約4-6ヶ月が目安とされています。

 

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